■免疫とは

私たちの身のまわりには、ウイルス、細菌、カビ、原虫、寄生虫といった病原体や、花粉、ハウスダストといった物質が、異物として数多く存在しています。免疫とは、こうした異物からからだを守る仕組みのことです。

腸管は「免疫細胞の数が多いこと」、「感染症に対する防御のために免疫を活性化する一方、栄養成分を摂取するために腸内細菌や食物に対しては免疫を抑制すること」などの特徴や働きがあります。

腸管には、500種類以上、約100兆個の腸内細菌が生息し、消化されなかった食物繊維などを発酵によって代謝します。

腸内細菌は、一定の構成比を保った腸内フローラを形成しており、「もう一つの臓器」と呼ばれることもあります。そして、それらの腸内細菌は、腸管における免疫系の成熟(T細胞の分化の完了)やその機能維持に寄与しています。

 

■腸は免疫の最前線

腸には食べ物のほかいろいろな病原菌が入り込んできます。食べ物は吸収し、病原などの異物は排除しなければなりません。

異物を察知したとき、最初に動くのがマクロファージ、好中球、樹状細胞などの食細胞です。免疫細胞の一種です。

取り逃がした異物(菌)については、マクロファージや樹状細胞がT細胞に伝えます。

T細胞にはキラーT細胞ヘルパーT細胞があります。

ヘルパーT細胞はB細胞に抗体を作るように指令を出します。

B細胞は一度作った抗体の型を覚えていて、以後同じ抗原(病原菌)が入ってきてもすぐに反応して排除するので、抗体が一度できると同じ病気にかかりづらくなります。一般的によく言われる「免疫がつく」というのはこの状態のことです。

キラーT細胞はその名の通り殺戮者で病原菌をやっつけていきます。

キラーT細胞は、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)やナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)と連携して、異分子に攻撃を加え撃退していきます。

T細胞とは:

血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種で、胸腺(thymus)でつくられるため、頭文字を取ってT細胞と呼ばれています。

①ヘルパーT細胞

B細胞の分化と抗体の産生を促しマクロファージやキラーT細胞を活性化させるはたらきをもちます。また、ヘルパーT細胞は腸管内でキラーT細胞へ分化することがわかっています。

②キラーT細胞

キラーT細胞は、感染細胞やがん細胞を特異的に殺傷します。

感染が慢性化すると、キラーT細胞は殺傷力が弱まります。すると、それを補うようにヘルパーT細胞の一部が殺傷力を持った「キラーT細胞」へ分化して働くようになります。

NK細胞とは

細胞傷害性リンパ球の一種で、特に腫瘍細胞やウイルス感染細胞を攻撃します。細胞を殺すのにT細胞とは異なり事前に感作させておく必要がないということから、生まれつき(natural)の細胞傷害性細胞(killer cell)という意味で名付けられました。単独で速攻撃をしていく免疫細胞です。

 NKT細胞とは

T細胞由来といわれていますが「自然免疫系」と「獲得免疫系」の両方の性質を備えています。

腸は、体内に病原菌が入らないように免疫反応が盛んにおこなわれている場所で、そこでの働きを「腸管免疫」といいます。

腸管には免疫の働きを担う細胞や、侵入者と直接戦うたんぱく質である抗体(主として免疫グロブリンA(IgA)の数や量はからだ全体の60%以上が存在しています。

■免疫には2種類ある

(1)自然免疫

細胞の1つひとつにあらかじめ備わった免疫の働きです。細胞に備わっているセンサーが特定の「物質」に反応して遺物の侵入を防ぎます。そのセンサーのことを「TLR」といいます。

TLRは、抗体と違って、特定の病原体そのものに働くわけではありません。

例えばTLR2は細胞壁の構成要素のひとつペプチドグリカンに反応し、

TLR3は菌やウイルスの2本鎖RNAに反応し、TLR4は菌の成分のリポ多糖に反応し、TLR5は鞭毛に反応します。

特定の菌体ではなくてその構成要素のひとつに反応しますので、センサーは、抗体に比べて反応する幅が広いということになりますし、B細胞の指令がなくても自発的に反応します。

 

 

(2)獲得免疫

抗原抗体反応という言葉を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。抗原抗体板の結果できるのが獲得免疫です。

病原菌やウイルスの情報をヘルパーT細胞が受け取り、B細胞に伝えて抗体を作ります。抗体を作るのに4日から7日くらいかかるといわれています。

病原体の形が少しでも違っていたら抗体は初めから作り直しです。抗体はそれに対応した病原体(抗原)には強いのですが、違うと役に立たないのです。

■免疫反応全体像

体内に異物が侵入すると、まず「自然免疫」が働き、それが病原菌の侵入を防いでいる間に「獲得免疫」が働いて抗体を作るという2重のバリアになっています。

自然免疫系が働くことによって獲得免疫系が動き出すという仕組みです。

TLRは反応するとサイトカイン、抗菌ペプチドを分泌します。すると感染した場所で炎症反応が起きます。風邪をひくと喉が痛くなることがありますが、大抵の場合は自覚できない程度の炎症が起き、そこでマクロファージなどの食細胞が菌をやっつけているのです。

つまり、センサーが反応して自然免疫が活性化されると初期段階で病原体が速やかに排除され、獲得免疫への情報伝達もスムーズになって、病状が悪化することなく済んでいるわけです。

「体が丈夫」とか「抵抗力がある」という言い方をよくしますが、「自然免疫」がよく働いているということなのでしょう。