血圧は腕にカフを巻いて測定するのが一般的です。「上の血圧」と「下の血圧」をセットで測定します。上の血圧とは、心臓が収縮して心臓から動脈へ血液をお送りだしたときの血圧です。収縮期血圧とか最大血圧とも言います。下の血圧は、心臓に血液が戻ってきて心臓が膨らんだ時の血圧です。拡張期血圧とか最小血圧ともいいます。

血圧を測るときには、毎回同じ部位で測るようにします。「人は血管とともに老いる」といわれますが、その指標となるのが血圧です。

1.血圧の上昇

心臓が一定時間に送りだす血液の量を心拍出量といいます。血管内で起こる血液の流れの抵抗のことを末梢血管抵抗といいます。毛細血管や末梢血管で見られる現象です。
血圧は心拍出量の増加と末梢血管抵抗の増加によって上昇します。

心拍出量の増加には、腎機能の低下などにより体内のNaが増加し、体液濃度を一定にするために水分が増加し、これに伴い血液が増加することが関わっています。
末梢血管抵抗の増加には、動脈硬化により血管内腔が狭くなることなどが影響しています。

そして、心拍出量の増加と末梢血管抵抗の増加の両方に交感神経の活性化が関わっています。交感神経が活性化されると交感神経末端や副腎からカテコールアミンが分泌されます。

カテコールアミンは直接的に心拍出量の増加、血管収縮による末梢血管抵抗に関わるほか、腎臓に働きかけてレニンに代表される昇圧ホルモンの分泌を促すことで血圧を上昇させます。


2.高血圧と動脈硬化

血圧は日々の行動に応じて変動しています。
運動をしたり怒ったりストレスを受けると血圧はたかまり、リラックスしているときには下がります。寝ているときには昼間よりも10~20%くらい低くなります。
こうした日常生活に起因する血圧の変動は主に自律神経が影響し、「血圧日内変動」と呼ばれます。
「高血圧症」と呼ばれる疾病は一般的に、こうした日常生活と関係ない理由で起こり、慢性的に高血圧となっている状態です。
高血圧症の95%は原因を特定できない「本態性高血圧」です。遺伝的体質、塩分の過剰摂取・肥満・飲酒・その他の生活習慣要因などが複合的に重なっていると考えられ、メタボリックシンドロームの診断にも利用されています。
残りの5%は特定の病気が原因となって引き起こされる高血圧で、主に腎臓の働きに関連するものと血圧を上げるホルモンが異常になるもので、「二次性高血圧」と呼ばれます。

高血圧が体におよぼす影響として最大のものは「動脈硬化」です。そして、動脈硬化が高血圧を招く一方で、高血圧が動脈硬化を悪化させるという悪循環に陥っていきます。

動脈硬化により、血管の弾力性を失い、血液の通り道が狭くなっていきます。

3.適正血圧

血圧を測定する環境に応じていくつかに分類されています。
病院で計測したときの血圧のことを【診察室血圧】とか【外来血圧】といいます。それに対して、自宅で測った血圧のことを【家庭血圧】と呼びます。
血圧は自宅で測った数値と病院で測った数値に差があることが多いです。
病院で測ると、家庭で測ったときよりも10〜30mmHg程度数値が高くでる人が多くいます。慣れない環境で緊張しているせいだといわれます。家ではリラックスして測ることができるので低めにでるようです。
逆に病院で測ったほうが血圧が低くでるという人もいます。家庭内での不和やストレスがあるものとみられています。

一般的に収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の場合、高血圧と判断されますが、家庭血圧は若干低くなっていて、上が135mmHg以上、下が85mmHgとなります。

4.高血圧の合併症

高血圧を放置すると動脈硬化が進行します。
疲労や体調の変化によって頭痛や頭重感を感じると、「血圧が上がったのではないか」感じます。基本的に初期の高血圧に自覚症状はほとんどありません。特有の自覚症状がないからこそ高血圧は怖いといえます。
(1)脳
合併症のうち最も多いのはの脳卒中です。脳卒中には「脳出血」と「脳梗塞」があります。脳出血は血管が破れ、血液が脳に圧力をかけて障害を引き起こします。

脳梗塞は血管が詰まりそこから先の組織が死んでしまい、機能が失われる疾病です。

麻痺や記憶障害、言語障害などの重い後遺症を招くことも少なくありません。
一過性脳虚血発作は、言葉が急にでなくなる、物事を理解できなくなる、体の一部が麻痺するといった発作が見られます。24時間以内に症状はおおむね消えてしまいますが、脳出血や脳梗塞の前触れといわれますので注意が必要です。

(2)心臓
心臓に栄養を送っている冠動脈に硬化が起こり、血液の流れが悪くなって起こる発作が「狭心症」です。さらに悪化すると動脈が詰まり血流が途絶えて「心筋梗塞」が起こります。そうすると心筋が壊死します。心筋梗塞は命を落とす確率が高い疾病です。
高血圧は動脈硬化を進めるだけでなく、心臓そのものにも圧力をかけて負荷を高めています。こうした負荷によって心臓の左心室が肥大した状態を「心肥大」といいます。心室の壁の厚みが何かの原因で厚くなった状態です。進行すると心臓の機能が低下して「心不全」に陥ります。
(3)腎臓
高血圧によって腎臓の細い血管や糸球体が硬くなり、血液をうまくろ過できなくなった状態が「腎硬化症」です。
人工透析をしている原因として、2型糖尿病が一番多いのですが腎硬化症による人工透析の患者が増加しています。
腎硬化症は、初期段階では自覚症状がなく、尿蛋白も比較的少ないのですが、高血圧を放置しておくと、緩慢に腎機能障害がすすんでいきます。そして、腎機能低下が高血圧を悪化させる悪循環が生まれ、次第に腎硬化症が進行していきます。
腎硬化症になると、老廃物をスムーズにろ過できなくなり、尿タンパクや血尿、むくみ、だるさといった症状が現れます。人工透析が必要になったり、尿毒症という危険な状態になったりする恐れがあります。
(4)目

目の網膜には微細な動脈が集まっています。これらの細動脈を抵抗血管ともいいます。この欠陥に動脈硬化が発生すると網膜に小さな反転や出血ができて視力障害が発生します。これが「高血圧性網膜症」です。

高血圧性網膜症は、よほど重症でない限り、視機能を直接的に損なうことはあまりありません。しかし、重要なのは、網膜動脈閉塞症や網膜静脈閉塞症、虚血性視神経症など視力を低下させる病気の原因となることです。

 

(5)動脈
動脈硬化などで弱くなった大動脈に、こぶ状の膨らみができることがあります。これが「大動脈瘤(りゅう)」です。大動脈から枝分かれした動脈にできた“こぶ”は「動脈瘤」と呼びます。動脈にできる“こぶ”はまだ小さな状態のときは大きくなりにくいのですが、いったん大きくなり始めると加速度的に膨らみ、最終的には壁が薄くなって破裂に至ります。
大動脈瘤が破裂すると、体腔中に大量に出血し、激しい胸や背中の痛み、腹痛が起こり、ショック状態になります。急速に危険な状態に陥るため、緊急手術でしか救命できない場合がほとんどです。
大動脈は内膜、中膜、外膜の3層に分かれています。中膜がなんらかの原因で裂けて、もともとは大動脈の壁であった部分に血液が流れ込むことで大動脈内に二つの通り道ができる状態が「大動脈解離」です。
大動脈解離は、ほとんどの場合、何の前触れもなく、突然、胸や背中の激痛とともに起こります。また、起こったばかりの時は、血管が裂けているために血管の壁が薄くなり、きわめて破裂しやすい状態にあります。