血液に中に流れている脂質はコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類です。このバランスが崩れた状態が「血中脂質異常症」といわれる疾病です。

1.コレストロール

コレステロールは、生体内に広く分布しており、細胞膜、消化吸収に必要な胆汁酸、ホルモンのもとになる重要な働きをしています。
また、化粧品・医薬品・液晶の原材料など工業原料としても利用されています。
コレステロールの大部分は食事に由来するのではなく、70%ほどは体内で合成されていて、血漿に含まれるリポタンパク質と呼ばれる粒子を媒体として輸送されています。人体では肝臓と皮膚で生合成されます。肝臓で合成されたコレステロールは脂肪酸エステル体に変換され血液中のリポタンパク質(LDL)により全身に輸送されます。
全身に輸送されたのち血中に余ったコレストロールを回収して肝臓へ運搬しているのがHDLです。LDLとHDLのバランスを適正に保つことが血液の健康につながります。

2.中性脂肪

血液中に含まれる中性脂肪のほとんどはトリグリセリド(トリアシルグリセロール)です。そのため、中性脂肪はトリグリセリドと同義とすることが健康を語る場面ではほとんどです。トリグリセリドは脂肪酸とグリセリンが結びついた形のもので、中性を示すので「中性脂肪」といわれています。
中性脂肪が多くなると、高LDLや低HDLをもたらし動脈硬化が進行していきます。

3.リン脂質

血液中に存在する脂質のひとつで、体内で脂肪がエネルギーとして使われたり蓄えられたりする時に、たんぱく質と結びついて血液中を移動します。水と油の両方をなじませる性質(両親媒性)があるのです。
リン脂質にはいくつかの種類があり、よく知られているものがレシチンです。大豆レシチン・卵黄レシチンがよく知られています。
レシチンなどのリン脂質が不足すると、細胞膜の正常な働きを保つことができなくなり血管にコレステロールがたまっていきます。結果、動脈硬化や糖尿病といった生活習慣病につながる症状を引き起こします。

4.遊離脂肪酸

脂肪細胞内にはせい中性脂肪が蓄えられていますが、それが分解され、血液中に放出されたものが遊離脂肪酸です。
脂肪細胞はその中にトリグリセリドを多く貯蔵しています。ホルモン感受性リパーゼという酵素がトリグリセリドを分解してグリセロール(グリセリン)とともに遊離脂肪酸を血中に放出します。
遊離脂肪酸は、血液中を運ばれて体内の各組織でエネルギーとして利用されます。余剰分は肝臓にとりこまれ、中性脂肪に再合成されます。
遊離脂肪酸は水と脂肪をなじませる両親媒性という性質をもち、多量に存在すると界面活性作用によって細胞膜を溶かし、細胞を破壊します。特に心臓の状態がよくない場合、血液中の遊離脂肪酸が増えすぎると心不全を引き起こすことがあります。またインスリン抵抗性を強くし、糖尿病そして動脈硬化へつながっていくことになります。

5.HDLとLDL

いわゆる「善玉/悪玉コレステロール」とは、コレステロールが血管中を輸送される際のコレステロールとリポタンパク質が作る塊のことで、コレステロール分子自体を指すものではありません。この塊には、中性脂肪やリン脂質なども一緒に乗っています。
善玉(HDL=高比重リポたんぱく質)と悪玉(LDL低比重リポたんぱく質)の違いは複合体を作るリポタンパク質の違いであり、これにより血管内での働きや振る舞いが変わってきます。
LDLは肝臓で生成されたコレストロールを血管中に運び出す働きをし、HDLは血管中の余分なコレストロールを回収して肝臓に戻す働きをしています。
LDLが多すぎると動脈硬化の原因となり、少なすぎると脳出血の原因となります。
コレストロールは血管を丈夫にする働きがありますが、多すぎると動脈硬化を引き起こし、結果的に心疾患や脳血管疾患につながっていきます。

LDLコレステロールの中でも超悪玉といわれるのが、粒子が小さい小型LDLです。小さなため血管壁に多く入りこみ、酸化されます。すると、マクロファージに取り込まれ動脈硬化を促進させることになります。
また、総コレステロール値がそれほど高くなくても、小型LDLが多いと動脈硬化を進めてしまいます。HDL値の低い人に小型LDLが多い傾向があります。

6.脂質異常症になるとどうなるのか

血液中に余分な資質が多くなって「血液がドロドロの状態」になっているのが脂質異常症といってもいいでしょう。
脂質異常症になると、動脈硬化を起こしやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなります。
高血圧の人が脂質異常症をともなうと、血管壁が傷つきやすいため、動脈硬化がさらに進行するリスクがあります。
糖尿病の人はインスリンの効き目が悪くなっている状態です。そのため、中性脂肪が体内で利用されにくくなっています。そのため糖尿病の人は脂質異常症を伴いやすく、動脈硬化を進行させるリスクが高まります。
脂質異常症には、自覚症状はほとんどありません。そのため気づくのが遅れ、ある日とつぜん心筋梗塞などの発作におそわれる人が少なくありません。

7.脂質異常症の診断基準

脂質異常症は、大きく分けて3つあります。
LDL(悪玉)コレステロールが多いタイプ:高LDLコレステロール血症
HDL(善玉)コレステロールが低いタイプ:低HDLコレステロール血症
中性脂肪(トリグリセリド)が多いタイプ:高トリグリセリド血症(TG血症)

診断の目安として「LH比」も重要とされています。「動脈硬化指数」とも呼ばれています
LH比とは、「LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値」のことです。

<LDLコレステロール値135mg/dl>、<HDLコレステロール値45mg/dl>の場合、

「135÷45=3」でLH比は3.0となります。

LDLコレステロール値が正常であっても、HDLコレステロール値が低いと動脈硬化が進行する恐れが高いです。予防には両方のバランスを示す数値(LH比)も参考となるのです。

LH比が2.5以上だと動脈硬化や血栓のリスクが高いため、以下の数値が推奨されています。
・一般的には2.0以下
・高血圧や糖尿病がある場合、あるいは心筋梗塞などの病歴がある場合には1.5以下