2型糖尿病

糖尿病は血中のブドウ糖が多くなりすぎる病気です。

膵臓のランゲルハンス島β細胞型分泌されるインスリンが主要なホルモンとして、血中のブドウ糖を全身の細胞に取り込ませるとともに、余分なブドウ糖をグリコーゲンに変えて肝臓や筋肉に貯蔵することによって血糖値を下げています。

通常であれば、食後高まった血中濃度は数時間後には食事をする前の濃度まで下がります。

<2型糖尿病の原因>

① インスリンの量が十分ではない(インスリン分泌不全)

② 作られたインスリンが十分作用していない(インスリン抵抗性)

③ ①と②の両方

インスリンの異常が原因 ということです。

国内の糖尿病患者の95は2型糖尿病です。インスリンが正常に機能していない状態です。

2型糖尿病は、初期の段階では自覚症状がまったくないことが多く、症状があらわれるとしても、非常にゆっくり、少しずつあらわれます。

肥満が必ずしも原因ではありませんが、肥満の人に多く、年齢的には40歳くらいから多くなります。遺伝的な素因も関係します。身内に糖尿病のいる人が多いです。

また、極端な運動不足も原因となります。

主な症状

・疲労感

・皮膚が乾燥して痒い

・手足の感覚が低下する、または、チクチク指すような痛みがある

・感染症によくかかる

・頻尿

・目がかすむ

・性機能の問題 (ED)

・切り傷やその他の皮膚の傷が治りにくい

・空腹感やのどの渇きがひどくなる

適正な治療を行わず、血糖コントロールが不良の状態が長く続くと、

腎不全、網膜症、心筋梗塞、脳卒中、下肢の切断など

が引き起こされ患者に多大なダメージを与えます。

原因

① 肥満

<アディポネクチン>

体脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪があります。脂肪細胞はエネルギー源の貯蔵庫というだけではなく、多くの生理活性物質を分泌しています。その中のひとつ、アディポネクチンは脂肪細胞が特異的に分泌する生理活性物質(アディポサイトカイン)で、動脈硬化や糖尿病を防ぐ善玉物質として知られています。

アディポネクチンには傷ついた血管を修復し、マクロファージの血管壁への接着やLDLの貪食を抑制するなどの有用な働き(動脈硬化の防止)があります。

さらに、インスリン感受性を高めてインスリンの分泌を節約して糖尿病を防ぐ働き(高血糖の防止)も担っています。

肥満となって内臓脂肪が増えてくるとアディポネクチンの分泌が減り血液中の濃度が低下します。

<レプチン>

生理活性物質のレプチンは、食欲を抑える働きをしていて、脂肪がたまってくると分泌が高まって食欲を低減させ肥満を防ぐ働きがあります。しかし、脂肪がたまりすぎるとレプチンの効き目が悪くなって(レプチン抵抗性の増大)食欲を抑えきれなくなります。別の言い方をすると大脳の満腹中枢にうまく信号が伝わらなくなり、さらに食べ過ぎて太っていく、というわけです。

<TNFα>

内臓脂肪から分泌される生理活性物質のひとつにTNFα(ティエヌエフアルファ)があります。内臓脂肪が増えると分泌が高まり、インスリン抵抗性をもたらし、糖尿病を引き起こしたり、悪化させたりする一因となります。

「腫瘍壊死因子」という呼び方もあり、適正な量が分泌されているときには、固形がんに対して出血性の壊死を生じさせる働きがあります。

まとめとしていえることは、肥満となり内臓脂肪が増加してくると

脂肪細胞から分泌される生理化活性物質のうち、善玉物質の働きを弱め、悪玉物質の働きを強める

ということです。

② 運動不足

運動不足は2型糖尿病を悪化させる原因となります。

体を動かすことでエネルギーが筋肉で消費されます。特に食後の運動は、血糖の過度な上昇を抑えるように働き、血糖コントロールの改善が期待できるほか、糖尿病の原因ともなる肥満の防止にもなります。

軽度の身体トレーニングであっても、長期的に続けると、インスリン感受性が改善し、筋肉や肝臓へのブドウ糖の取り込みが促進され血糖値が改善されることが知られています。

細胞へブドウ糖がきちんと吸収されているとそれをエネルギー源にして私たちは元気に活動できます。吸収されていないとエネルギー源が不足しますので「疲れやすい」という症状が出てくるのです。

運動を無理のない範囲で継続してインスリンの効用を上げることが糖尿病の予防法のひとつです。

ウォーキングなどの有酸素運動をしている人の糖尿病発症率は、していない人の半分以下という調査結果もあります。

③ 乱れた食習慣

2型糖尿病は食事が大きな原因です。摂取カロリーと消費カロリーのバランスがとれておらず、過剰にカロリー摂取しているこが問題となります。

食事では、「糖質」「タンパク質」「脂質」のバランスに注意し、「ビタミン」「ミネラル」の摂取も心掛ける必要があります。

食事の時間、回数、量など一定の習慣に乗っ取らずに、食べたい時に食べ、食べたいものだけを食べるという、不規則・偏った栄養・過食を長期にわたって継続していくと糖尿病を招くこととなります。

④過度なストレス

ストレスがかかると交感神経が優位となり緊張をもたらします。そうすると、ブドウ糖を用意するために血糖値を上昇させるホルモン(グルカゴン、アドレナリン、コルチゾールなど)の分泌量が増えてきます。その結果、インスリンの効能を相対的に減衰させてしまいます。

さらに、人によってはストレス食いやアルコールの摂取をしてしまうという行為につながり、糖尿病へとつながっていくことになります。

⑤その他

遺伝や加齢が糖尿病のリスクを高めることもあります。家族や親戚に糖尿病の人がいる場合、遺伝的要因のある家系であることが考えられます。家族はもとより、親戚も含めて糖尿病を患った人がいないか確認しておくことも大切です。ただし、家族や親戚に糖尿病の人がいないからといって心配する必要がないわけではありません。日々の生活習慣によって糖尿病になるリスクは十分あるため、遺伝的な要因だけで判別するのは好ましくありません。

40歳をすぎたころから特に注意を払う必要があります。加齢とともに膵臓やβ細胞の機能が低下するためです。加齢は糖尿病を発症する要因の1つです。これまで健康だったとしても40歳をすぎたら十分注意することが肝要です。

三大合併症

インスリンがうまく機能せず、血液中に多量にブドウ糖が残っていると、赤血球の「ヘモグロビン」や、血管の壁に存在する「コラーゲン」などのタンパク質と結合して「AGE(終末糖化産物)」と呼ばれる悪玉物質を作ります。

AGEが増えてくると、血管の内側の膜を作っている「血管内皮細胞」が傷ついて炎症が起こります。この炎症の影響で、血管の壁は厚く硬くなり、弾力が失われて傷つきやすくなります。動脈硬化です。

これが進行してくると、体中の血管が劣化し、いろいろな臓器に障害が出てきます。

これが、高血糖(糖尿病)を放置しておくと、合併症につながっていくメカニズムです。

① 糖尿病性神経障害

手足の細い血管が障害を受け血行不良となります。結果、しびれや麻痺・潰瘍を引き起こします。

指先がピリピリとしびれる感覚や痛みや熱さをあまり感じなくなるなど麻痺の症状がでます。

重症化すると壊疽を起こし切断しなければならなくなります。

②糖尿病性網膜症

眼球の内側の膜を「網膜」といいます。網膜に画像が投影されて物を見ることができます。網膜には、毛細血管が張りめぐらされており、糖尿病により毛細血管が障害を受けると糖尿病性網膜症となります。眼底出血などを起こすことが原因で視力が低下し、やがて失明に至る場合もあります。

③糖尿病性腎症

血中の老廃物をろ過して尿に排出する役割をもつ「腎臓」の糸球体には、毛細血管が球状に密集しています。糖尿病によりこれらの毛細血管が障害を受けると、ろ過がうまくできなくなり、悪化すると人工透析が必要になります。

高血糖を放置しておくと、やがて太い血管にも障害が起きてきます。高血糖がひき起こした動脈硬化が原因で高血圧になったり、心臓を取り巻く太い血管が詰まって心筋梗塞を起こしたり、脳の血管が詰まって脳卒中を起こしたりします。こうなると一瞬で命を奪われる可能性も出てきます。

その他、肺炎、ED、脂質異常症など、糖尿病の合併症は多数あります。糖尿病の合併症は、初期には自覚症状がないものが多いので、定期検診をきちんと受診し、問題があれば治療していくことが大事です。