生活習慣病対策

「生活習慣病」は以前は「成人病」と呼ばれていました。加齢によって、大人がなる病気と考えられていたからです。しかし、若年層でも発症する人が増加し、加齢だけが原因ではなくて運動や食事、休養などの生活全般の習慣が影響していることが徐々にわかってきました。

生活習慣病とはどのようなものかを知ることが最初にすべきことです。
そしてそれを予防・改善するにはどうしたらよいかを考えることが、健康な毎日を送っていく基礎となります。

生活習慣病

生活の積み重ね、食事・運動・休養・喫煙・飲酒・ストレスなどの影響で発症・進行する疾病の総称です。長い年月をかけて少しずつ進行していきます。
普段の「生活習慣」「生活を取り巻く環境」が、病気の素となります。
では、生活習慣病とばれている疾病にはどのようなものがあるのでしょうか。

これらが代表的な「生活習慣病」です。

糖尿病

糖尿病には4つの種類があります。

1 1型

自己免疫反応の異常やウイルス感染により、すい臓のランゲルハンス

島β細胞を自分で攻撃して しまい、インスリンを出す機能を壊してしまうタイプ(自己免疫性)と原因不明のタイプ(特発性)の2つがあります。

つまり、インスリンが分泌されなくなってしまうのです。日本では、2型糖尿病に比べ非常に発症率が低くなっています。

2 2型
インスリン分泌低下が原因のものとインスリンが効かなくなってしまうものがあります。また両方が合わさるときもあります。

日本の糖尿病患者の約95%は、この2型糖尿病です。
原因として、遺伝的素因と環境的要因があります。
環境的要因とは「食べすぎ」「偏食」「運動不足」「ストレス」といった生活習慣のことです。。
遺伝的な素因があっても環境的要因に気を配ることによって発症させないことが十分可能です。2型は生活習慣病の一種です。

3 他の疾患が原因でなるもの
例えば内分泌疾患、感染症などが原因となります。

4 妊娠糖尿病
妊娠中、糖尿病までは至っていないけれども、血糖が通常よりも高い状態を妊娠糖尿病といいます。胎児に悪い影響がでるので血糖コントロールを行います。生活習慣と関係が深く問題となっているのは「2型糖尿病」です。

血中脂質異常症

血中のコレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)、リン脂質、遊離脂肪酸といった脂質の量が多すぎることを脂質異常症といいます。

脂質異常症は、その原因によって「原発性高脂血症」「続発性(二次性)高脂血症」の2つに分けることができます。原発性は遺伝的素因がもとで発症します。体質ということも可能です。
続発性(二次性)高脂血症原因は食生活や生活習慣です。食べ過ぎ、偏食、動物性脂肪の取りすぎには気を付けなければなりません。また運動不足や喫煙も原因のひとつとなります。

続発性に話を絞ります。種類は3つに分かれます。

1 高LDLコレステロール血症
LDL(悪玉)コレステロールが多いタイプ
2 低HDLコレステロール血症
HDL(善玉)コレステロールが低いタイプ
3 高トリグリセライド血症
中性脂肪(トリグリセライド= TG)が多いタイプ

高血圧

血圧とは血液による血管内壁への圧力のことをいいますが、心臓が収縮したとき大きくなり、弛緩(拡張)したときに小さくなります。「上の血圧」とか「下の血圧」とよくいいます。
血圧は日々の時間帯や行動に応じて変化しますが、慢性的に一定以上の血圧があるとき「高血圧」と診断されます。
原因はいろいろ考えられますが生活習慣が関与してきます。
塩分の取りすぎによる血液量の増加、心臓から送り出される血液量の増加、血管の収縮、大動脈の劣化・老化などです。

心筋梗塞・狭心症

心臓に酸素や栄養分を送り込む冠動脈に動脈硬化は起きて発症します。血管の通り道が狭くなり十分な血液が流れなくなって起きるのが「狭心症」です。血管が血栓によって詰まってしまうのが「心筋梗塞」です。
胸が締めつけられる痛みが続いたり、冷や汗がひどくなったりします。
狭心症のときにはニトログリセリンを使って症状をやわらげることができます。
動脈硬化の原因は「糖尿病」「脂質異常症」「高血圧」などです。
つまり生活習慣が大きな要因となります。

脳梗塞・脳出血

脳梗塞とは脳の血管が詰まること、脳出血とは血管が破れることです。

脳梗塞には3つのタイプがあります。

1 ラクナ梗塞

細い穿痛動脈が詰まると小さな脳梗塞を起こします。これがラクナ梗塞です。サイズが小さいので、症状も比較的軽いことが多いのです。ただし、発作を繰り返すと痴呆やパーキンソン症候群の原因になります。日本人に多いタイプです。

2 アテローム血栓性梗塞

中大脳動脈など首や脳の表面にある太めの脳動脈の動脈硬化(アテローム硬化)が原因となり血管をふさぎます。ラクナ梗塞より太い血管が詰まるので影響受ける範囲が大きくなります。ラクナ梗塞よりも重症です。

3 心原性脳塞栓症

心房細動(不整脈の一種)などによってできた心臓内の血栓が脳動脈に流れ込んで、血管に詰まるものです。心臓内でできた血栓が原因なので「心原性」といいます。ほかのタイプの脳梗塞に比べて起こり方が突然で、重症度が大きくなります。
動脈硬化が脳梗塞の引き金となります。

脳出血にはふたつのタイプがあります。

1 脳内出血

もろくなった脳動脈が破けて正常な組織を圧迫・破壊します。高血圧の程度がひどいときに発生します。

2 くも膜下出血

主な原因は脳動脈瘤の破裂です。脳動脈瘤ができる原因はよくわかっていません。ただ、遺伝素因や高血圧の影響があると考えられています。
出血すると、くも膜に強い刺激が加わり、ひどい頭痛がします。大量に出血すると命にかかわります。

がん

がんは、さまざまな要因によって発症していると考えられており、その中には生活習慣に気を付けることによって予防できるものも多く含まれています。

喫煙が肺がんだけではなくて、食道、胃、肝臓、膵臓、膀胱および子宮頸(けい)部などのがんにも関与していることがわかっています。

飲酒は口腔、咽頭、喉頭、食道、大腸、肝臓、乳房のがんのリスクを上げることがわかっています。身の周りに普通にある食べ物にも発がんを促すものが多くあります。例えば牛・豚・羊などの赤肉、特に加工肉は大腸がんのリスクを上げるとされています。

逆に、食物繊維を含む食品が大腸がんのリスクを下げ、中~高強度の運動が結腸がんのリスクを下げるとされています。デスクワーク中心の人よりも体を使う仕事をしている人の方が大腸がんや結腸がんになりづらいことがわかっています。

高尿酸血症

血液中の尿酸値(血清尿酸値)一定値を超えたときに高尿酸血症と診断されます。男女で差があり、男性ん方が数値が高くなっています。

遺伝的素因でなりやすい人がいる一方、生活習慣がもとでなってしまう人も多くいます。
肉や魚介類を多く摂取しすぎると尿酸値が高まります。またアルコールにも尿酸値を高める作用があり、痛風患者にはアルコール好きが多い傾向があります。
また痛風の人の60%が肥満といわれています。

歯周病

口腔内にはおよそ300~500種類の細菌が住んでいます。
歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が十分でないと、そこに多くの細菌が停滞していきます。歯垢が蓄積してくると歯肉の辺縁が「炎症」を帯びて赤くなったり、腫れたりします。しかしなかなか痛みがほとんどないので自覚することができなく、知らない間に病状は進行していきます。
進行すると歯周ポケットとが深くなり、歯を支える土台である歯槽骨が溶けて後退していきグラグラと歯が動くようになり、最最終的には抜歯をしなければいけなくなってしまいます。
しかし失うのは歯だけではありません。歯周病菌が血管内に侵入し、全身を駆け巡ります。糖尿病、心疾患、脳梗塞の発症に影響を与えます。

第1章 狭心症・心筋梗塞

心臓も働くためには酸素や栄養素が必要です。それらを心臓の筋肉へ運ぶ血管が冠状動脈です。冠状動脈には、太い3本の枝があり、心臓の回りを王冠のようにめぐっています。動脈硬化や血...

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第2章 糖尿病

2型糖尿病糖尿病は血中のブドウ糖が多くなりすぎる病気です。膵臓のランゲルハンス島β細胞型分泌されるインスリンが主要なホルモンとして、血中のブドウ糖を全身の細胞に取り込ませると...

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第3章 脂質異常症

血液に中に流れている脂質はコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類です。このバランスが崩れた状態が「血中脂質異常症」といわれる疾病です。1.コレストロールコレ...

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第4章 脳卒中

脳卒中とは「脳の血管が詰まったり、破れたりして、いろいろな脳の症状が現れるすべての状態」をいいます。血管が破れるのは「脳出血」と「くも膜下出血」に大きくに分けることができます。...

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第5章 高尿酸血症

高尿酸血症とは、からだの新陳代謝で発生する老廃物である「尿酸」が増え過ぎている状態です。体内で結晶化した尿酸は、関節や腎臓などに溜まります。関節に溜まった尿酸の結晶が痛風発作の原...

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第6章 高血圧

血圧は腕にカフを巻いて測定するのが一般的です。「上の血圧」と「下の血圧」をセットで測定します。上の血圧とは、心臓が収縮して心臓から動脈へ血液をお送りだしたときの血圧です。収縮期血圧...

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