(1)サイトカイン

体内に病原体が浸入したら、それらを食べてしまう食細胞が現れます。マクロファージが代表的な食細胞です。マクロファージは、その人自身の細胞の死骸を食べても活性化しませんが、異物を食べると活性化します。活性化すると“物質”を分泌します。その物質のことを「サイトカイン」といいます。一種の警報物質です。

サイトカインには多くの種類があります。インターロイキン、インターフェロン、TNFは、食細胞を刺激して活性化させます。病原体が浸入してきたのでみんな協力するように気合を入れるわけです。体中の細胞に臨戦態勢を取るように命じるのです。また、ケモカインというサイトカインは、応援部隊を呼び寄せる働きがあります。

真っ先に立ちはだかる食細胞がマクロファージで、応援に駆け付ける食細胞の多くが好中球です。好中球はマクロファージよりも殺菌力が高い細胞です。

食細胞が集まってくるとその部分に「炎症」がおきます。

「喉が痛いなあ」というときには、のどで炎症が起きているのです。つまりその箇所に食細胞が集まってきており、病原体をやっつけているのです。

病原体を倒して死んでいった好中球の死骸が膿です。

(2)病原体を感知するセンサー ~ TLR:toll様受容体

食細胞が病原体を感知するために備えているセンサーをTLR(toll-like receptor toll様受容体)といいます。

TLRには多くの種類があって、その種類ごとに感知できる病原体が異なります。

構造は2つのパーツからなっています

このセンサーに反応する物質(異物)をリガンドといいます。

TLRは病原体の構造部分ごとに反応するもので、例えばTLR5は鞭毛の構造物質に反応する性質があります。細菌全体ではなくてその破片に反応するということです。

食細胞は自己の死んだ細胞や病原体など相手かまわず食べます。その結果、病原体を構成する部分(目印)がTLRに引っかかったときにそれが病原体であることを認識してサイトカインを出します。はじめから選んで食べているわけではありません

TLRは食細胞の表面(細胞膜)に分布するものと細胞内部のエンドソーム膜内に分布するものとがあります。

病原体のDNAとかRNAは病原体の内部に入っているため、食細胞は病原体を取り込んで分解しなければ認識できません。その分解の場がエンドソームなのです。

ですから上の図のように、TLR3、TLR7、TLR9のようにDNAやRNAを感知するものはエンドソーム内に配置されているのです。

病原体を感知するセンサーとしてTLRのほかにも多くのものが発見されています。

・RLR

細胞膜やエンドソーム膜ではなくて、細胞質中に存在する。ウィルスのRNAに反応する。

・CLR

細胞膜に分布し真菌の細胞壁を構成する糖鎖を認識する。

・NLR

細胞質中に存在し、細菌やウィルスの成分を認識する。

・cGAS

細胞質中の存在し、細菌やウィルスのDNAを認識する。ただし、cGASは受容体ではなく酵素の一種。病原体のDNAが結合すると活性化し、いくつかの工程を経てサイトカインが分泌される。

TLR、RLR、CLRなどの受容体は、食細胞だけに存在するのではなく全身の体細胞にも存在していることがわかっています。つまり、体のいたるところで病原体が感知され、サイトカインが放出されているのです。