ある病原体に一度感染すると、そのときはたらいたT細胞やB細胞の一部が、記憶細胞として体内に残ります。

その後、再びその病原体に感染したときは、素早く免疫反応が起きます。

「一度かかった感染症には、またかかることはない」といわれてきました。

これを、免疫記憶といいます。

記憶細胞には、記憶B細胞、記憶キラーT細胞、記憶ヘルパーT細胞の存在が確認されています。

記憶細胞の定義は「一度、抗原を経験して、そのあと抗原が存在しない状況でも生き延びている細胞」となります。

前とじ抗原が入ってきたとき、記憶細胞は抗原特異的に活性化されます。記憶細胞は、すぐにエフェクター細胞に分化できる位置にあることと、ナイーブ細胞に比べて数が多いので迅速に強力に抗原を退治し始めるのです。

エフェクター細胞というのは、活性化して働いている細胞のことです。例えば、キラーT細胞が活性化すると、盛んに感染細胞にとりつき細胞ごと抗原を退治します。このような本来の仕事を盛んに行っている細胞をエフェクター細胞といいます。

1回目の感染では抗体を作り出すの時間がかかりそのピークは病原体の侵入から2から3週間です。しかし、2回目の侵入では、抗体の産生は4日程度でピークに達し、しかも多量に生産します。

仮説のひとつとして図のようなモデルがあります。

1回目は上段の手間のかかる経緯をへて抗体を産生します。

樹状細胞の抗原提示を受けて、ナイーブヘルパーT細胞が活性化します。

同じころ、ナイーブB細胞の抗原認識受容体に抗原が引っ掛かり、それを食べたナイーブB細胞は少しだけ活性化します。少しだけ活性化したB細胞が抗原提示し、そこにぴたりと合う受容体を持った活性化ヘルパーT細胞が結合します。

そうするとB細胞はちゃんとカ性化し、やがてプラズマ細胞となって抗体を産生します。

結構長い過程が必要ですが、記憶B細胞があると、下の過程のように、上の過程の大半を省くことができます。スピードアップにつながるのです。

日本では、ワクチンの利用で子供のころからお世話になっている「免疫」療法ですが、免疫記憶に関しては、未解明の部分が多くあります。

濾胞樹状細胞の実験から、免疫記憶には自然免疫も関係しているのではないかとも考えられます。

記憶B細胞と記憶キラーT細胞を活性化するには、活性化したヘルパーT細胞の働きが必要なことは判っていますが、そのヘルパーT細胞が普通のT細胞でよいのか記憶ヘルパーT細胞でないとだめなのか、まだわかっていません。

これからの研究で、徐々に解明されていくことと思います。