T細胞とB細胞の特徴として以下のふたつがありました。

(1)遺伝子再構成

Aが成立する要因は、結論から言うと「遺伝子再構成」と呼ばれる機序です。

受容体の可変部分はいくつかの領域に分かれていて、各領域から遺伝子の断片をひとつずつ選んで新しい遺伝子を構成します。これを、遺伝子再構成といいます。

遺伝子断片のつなぎ目に塩基が挿入されたりされなかったりするので数は増していきます。その結果、1000億個以上の受容部ができていくのです。

(2)アポトーシス

Bが成立するためには、自己由来のペプチドに反応するものを取り除かなければなりません。

T細胞を見ていきます。

T細胞は骨髄で生まれてある程度成長したら胸腺へ移動します。

胸腺では、上皮細胞の表面に「MHCクラスⅠ+ペプチド」「MHCクラスⅡ+ペプチド」がたくさん出ています。

胸腺に移動した前駆T細胞(まだ、ヘルパーとかキラーの区別がない)は、胸腺の中を通り抜けていく間に、「MHC+ペプチド」にどの程度適合するかを試されます。

①「MHC+自己ペプチド」と強く結合する

②「MHC+自己ペプチド」と適度に結合する

③「MHC+自己ペプチド」とまったく結合できない

この3種類のうち、②だけが生き残り①と③はアポトーシスを起こして死んでいきます。

①は自己を攻撃する免疫となってしますので除かれます。③は「MHC+抗原ペプチド」にも反応しない可能性が高いので除かれます。

②は生き残って、将来「ヘルパーT細胞」か「キラーT細胞」へと成長していきます。

ヘルパーT細胞の表面にはCD4分子が出ています。キラーT細胞にはCD8分子が出ています。前駆T細胞には、両方が出ています。

前駆T細胞が、胸腺を通るときにMHCクラスⅡ+自己ペプチド」に適度に結合した前駆T細胞は、ヘルパーT細胞となるべくCD8が消えてCD4が残ります。逆に「MHCクラスⅠ」の方と適度に結合した前駆T細胞はCD4が消えてキラーT細胞へと分化していきます。

では、B細胞はどのように選別されるのでしょうか。

B細胞抗原認識受容体は、T細胞と違って抗体の形をしています(抗体として抗原を直接攻撃することはできません)

周囲の細胞や血液中を流れてくる分子にくっつくかどうかをテストします。くっついたら失格でアポトーシスを起こして死んでいきます。

まったく反応しなくても死ぬことはありません。

上の例でいうと①「MHC+自己ペプチド」と強く結合する、のときだけはじかれるのです。

ちなみに、B細胞は骨髄で生まれて骨髄で成熟します。

自己反応性の免疫細胞は、このような仕組みで排除されるのですが、完ぺきではありません。

一説によると、自己反応性のT細胞やB細胞は一部生き残り、その割合は10%程度といわれます。

(3)免疫抑制

生き残った自己反応性のT細胞やB細胞に対して、どの様に対応しているのでしょうか。いくつかの安全装置があります。

①アナジー

樹状細胞は活性化していないときには、表面に自己細胞由来のペプチドを提示しています。そこに、自己反応性のナイーブT細胞が貼り付いてきます。活性化していない事情細胞は補助刺激分子を出していません。また、サイトカインをナイーブT細胞に浴びせることもしません。

そうするとナイーブT細胞も活性化できない状態になります(無反応・不応答)。これをアナジーといい、やがてナイーブT細胞は死んでいきます。

平穏なときに、樹状細胞は地道に自己反応性のナイーブT細胞を退治しているわけです。

②制御性T細胞。

活性化した樹状細胞には、抗原由来のペプチドが乗っていますが、同時に自己細胞由来のペプチドも乗っています。この自己由来のペプチドに自己反応性のナイーブT細胞が結合すると大変なことになります。

それを防ぐために、自己反応性のナイーブT細胞が張り付く前に、制行政T細胞が貼りついて、自己反応性のナイーブT細胞が貼り付けないようにしてしまうのです。

制御性T細胞は、CD陽性のT細胞で、競合する相手はCD4陽性のナイーブヘルパーT細胞とCD8陽性のナイーブキラーT細胞です。

③アポトーシス誘導スイッチ

免疫反応がうまくいって病原体が減り終息に向かうとき、免疫反応が過剰になされたとき、不要な免疫細胞にはいなくなってもらわなければならない。

T細胞の表面にはFasというアポトーシスを促すスイッチがあります。他の細胞のFasリガンドと結合するとアポトーシスを起こして死んでしまいます。

T細胞が活性化すると、細胞の表面にFasリガンドを出します。

免疫反応が過剰だったり、終息に向かうべき状況になったとき、T細胞同士でFasスイッチを押しあって死滅していきます。