(1)B細胞の活性化

T細胞の次はB細胞の話です。

T細胞のTというのは胸腺(Thymus)を意味しています。この免疫細胞が胸腺で成熟するところに由来しています。

Bとは何でしょうか。Bとは骨髄(Bone Marrow)を意味し、この免疫細胞が骨髄で成熟することに由来します。

B細胞の働きは一言でいうと、抗体の生産です。

リンパ節にいるB細部のところには、侵入した細菌やウィルス、それらの死骸が流れてきます。

B細胞の表面にはB細胞抗原認識受容体が突き出ています。

この受容体はB細胞ごとに型が異なっています。受容体の型は1000億以上の種類があります。ひとつのB細胞には多くの受容体が突き出ていますが皆同じ形をしています。同じ形の受容体を持ったB細胞は100個くらいしかありません。

この受容体は、形が合う抗原をとらえます。そしてとらえた抗原をB細胞の内部に引きずり込み、分解します。

ここで注意、ナイーブヘルパーT細胞は、樹状細胞の「HMCクラスⅡ+ペプチド」と結合しましたが、B細胞(正確にはナイーブB細胞)は抗原そのものとくっつきます。

抗原を引きずり込み、それを食したB細胞は、抗原提示をします。抗原提示をするときには樹状細胞やマクロファージと同じように「MHCクラスⅡ+抗原ペプチド」の形で提示します。

では、誰に向って提示しているのでしょうか。相手は、活性化ヘルパーT細胞です。舞台はリンパ節。B細胞はリンパ節に残っているヘルパーT細胞に向って抗原提示をしているのです。

抗原を食べたことによってB細胞は少し活性化しています。そして、ヘルパーT細胞と結合することによってさらに活性化したいと思っています。

B細胞が提示する「MHCクラスⅡ+抗原ペプチド」とうまく合致する抗原認識受容体を持つT細胞が出会うと合体してB細胞は活性化できるのです。

B細胞からは補助刺激分子CD80/86が出ていて、ヘルパーT細胞の補助刺激分子CD28に結合して刺激を入れます。同時にヘルパーT細胞のCD40LがB細胞のCD40に結合して刺激を入れます。さらにヘルパーT細胞はサイトカインを放出してB細胞に浴びせます。

3つの条件が整わなければならないので、B細胞は簡単には活性化しないのです。

(2)プラズマ細胞

活性化したB細胞は、最終的には成熟して抗体を産生するプラズマ細胞へ変化します。活性化B細胞一部は記憶B細胞へ変化します。プラズマ細胞に至るまで親和性成熟とクラススイッチの2つの過程を経ます。

1)親和性成熟

抗原に対する抗体の結合力を強めるためには、抗体の形を整える必要があります。合い鍵だと,やすりがけをして最後にぴったりする形に仕上げていきますが、B細胞の場合には突然変異を利用します。抗体部分(抗原認識受容体の部分)の形をランダムに変えていくのです。

そうするとぴったり合うものができることもあれば全然ダメなの物ができることもあります。それを確かめるためには、濾胞樹状細胞(FDC)を舞台となります。

そこでは、リンパ節に流れ着いた抗原が一様に集められて陳列されています。ここで、突然変異を起こして形を変えた抗原認識受容体がぴたりとくっつくかどうかが試されるのです。

ぴたりとくっついたB細胞はプラズマ細胞となります。ダメだったB細胞は、死んでいきます。

2)クラススイッチ

クラススイッチとは、免疫反応で生産される免疫グロブリンの定常領域(Fc領域)が、抗原などの刺激により可変部を変えずにIgMからIgGやIgEなどへと変換することを指します。

抗体は物質名としてはIg(免疫グロブリン:Immunoglobulin)といいます。抗体の先端部分はY字型をしており、いくつかの種類に分類できます。その種類を「クラス」といいます。

クラスには、例えば「Mクラス」、「Gクラス」があります。それぞれ「IgM」、「IgG」と書き表します。

B細胞が最初に生成するヒトの免疫グロブリンはIgMであり、そこからクラススイッチによって、その他のクラスの免疫グロブリンに変化することになります。

IgMクラスからどのクラスやサブクラスの抗体に変換するかは、ヘルパーT細胞の産生するサイトカインと呼ばれる活性たんぱく質の作用によって決まります。

3)抗体の分泌

親和性成熟とクラススイッチを経た活性化B細胞はプラズマ細胞に変化し、抗体(IgG)を細胞外に分泌していきます。抗体の主力になっているのがIgGです。

(3)抗体はどのように抗原に作用するのか

IgGの働きをふたつ紹介します。

1)中和

①毒素の中和

病原体の中には体に侵入して毒を放出するものもいれば、死んで毒素が漏れ出てくる場合もあります。それらの毒素が、細胞に取り込まれたり、何らかの受容体に結合したりして、毒性を発揮して害悪をもたらします。

抗体が毒素と結合することによって、毒素が細胞内に取り込まれたり、受容体に結合したりすることがなくなります。そして、食細胞が、抗体ごと毒素を食べてやっつけてくれます。

②ウィルスの中和

ウィルスに抗体が結合することによって、ウィルスが細胞に「足場」を築くことを阻止します。足場が築けないとウィルスは細胞内に侵入できないのです。抗体が結合したウィルスは抗体ごと食細胞に食べられてしまいます。

2)オプソニン化

抗原に抗体が結合します。抗体の根本のFc領域に食細胞のFc受容体が結合します。すると食細胞は、抗原を食べやすくなるので激しく貪食するようになります。

たとえて言うと、病原体に抗体が振りかけられて「味付け」の役目をして、好中球やマクロファージなどの食細胞の食欲が増して盛んに食べるようになることです。

(4)自然免疫と獲得免疫の相互作用

①食細胞(自然免疫)が侵入した病原体を貪食する

②食細胞の一種、樹状細胞がヘルパーT細胞に抗原提示する。

③活性化したヘルパーT細胞は、貪食して活性化した食細胞をさらに活性化する

④ナイーブB細胞は病原体を食べて、活性化ナイーブT細胞に抗原提示をする。

⑤活性化ナイーブT細胞によってさらに活性化されたB細胞はプラズマ細胞となる。

⑥プラズマ細胞が出した抗体が病原体にくっつく。

⑦抗体が結合した病原体を食細胞が貪食していく。

という流れになっています。

最初に「自然免疫」が働き、そのあと「獲得免疫」が引き継ぐ、というわけではなくて、獲得免疫ができた後にも自然免疫が登場して、相互に助け合いながら侵入した病原体を攻撃して滅ぼしていくことがわかります。