(1)がん免疫療法

がんに関する療法として、外科手術、抗がん剤、放射線治療がありますが、免疫を利用した免疫療法が第4の治療法として注目されています。

がんワクチンには「予防ワクチン」と「治療ワクチン」の2種類があります。

予防ワクチンで有名なのは「インフルエンザワクチン」ですが、これと同じようにウィルス感染を予防するがんワクチンに「子宮頸がんワクチン」があります。

「がんワクチン」治療には、「ペプチドワクチン」療法と「樹状細胞ワクチン」療法の2種類あります。

どちらもキラーT細胞を活性化してがん細胞に攻撃を加えていきますが、樹状細胞に「がん」の目印を認識させる方法が異なります。

ペプチドワクチンは、がん細胞特有のぺプチドを体内に注射します。樹状細胞がそれを取り込み分解すると、抗原提示をします。これによってキラーT細胞が活性化し、抗原特異的にがん細胞を攻撃していきます。

しかし、樹状細胞が注射したペプチドをうまく取り込むかどうかは「偶然のなりゆき」にまかせるしかありません。

「樹状細胞ワクチン」療法は、樹状細胞を体外に取り出して、「樹状細胞」と「がん」の目印を一緒に培養することにより、「樹状細胞」に「がん抗原」の情報を取得させます。そして、情報を取得し、活性化した「樹状細胞」を体内に戻します。

ポイントは「がん」の目印を使い、強制的に樹状細胞に情報を取得させる点が、「がんペプチドワクチン」と異なるところで、「偶然の成り行き」に頼ることをしていません。

免疫療法は、体への負担が少なく副作用もありません。また、入院の必要もありません。しかし、まだ保険が適用になるのはごく一部のみです。

(2)自己免疫疾患

自己免疫疾患とは、免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしま症状のことです。

全身にわたり影響が及ぶ全身性自己免疫疾患と、特定の臓器だけが影響を受ける臓器特異的疾患の2種類に分けることができます。

●40自己免疫疾患表

難病に指定されているものが多く、どれも発症のメカニズムが良くわかっていません。

自己免疫疾患の原因のヒントとなるものをあげていくと、

1)抗原提示

活性化した樹状細胞のMHCクラスⅡには自己ぺプチドも提示されています。

自己ペプチドに反応するナイーブヘルパーT細胞が少数ながらいて、かつ、制御性T細胞が働かなかったら、自己反応性のナイーブヘルパーT細胞が活性化してしまいます。

2)自己反応性のナイーブB細胞

自己の成分に反応するB細胞の抗原認識受容体に自己由来の成分が結合する。そして、抗原由来のペプチドがMHCクラスⅡ分子に提示されていたら、活性化したヘルパーT細胞が結合する。その結果、自己反応性のB細胞が活性化して自分を攻撃する抗体を産生するようになってしまう。

3)親和性成熟

活性化したB細胞が増殖するとき突然変異を起こす。その時に自己反応性のB細胞もできる。これがちゃんと死滅するシステムが機能すれば問題はないが、そうでない場合には自己を攻撃する抗体が産生されてしまう。

4)抗原提示

活性化した樹状細胞には、MHCクラスⅠ分子に自己ペプチドが乗っている。これに反応するナイーブキラーT細胞があり、制御性T細胞が機能しなかった場合、自己反応性のナイーブキラーT細胞が活性化してしまう。

5)胸腺での機能

胸腺で自己反応性のT細胞はアポトーシスを起こし死んでいく機構がある。その機構がうまく働かないと自己反応性のT細胞が生き残ってしまう。

6)制御性T細胞

制御性T細胞がうまく機能しないと、自己反応性のナイーブT細胞とナイーブB細胞の活性化を許してしまう。

7)自然炎症

TLRなどのパターン認識受容体は、病原体だけでなく自己の内在性リガンドを認識して活性化し、炎症を起こす。活性化した樹状細胞がそれを認識し、制御性T細胞がうまく働かないと自己反応性のナイーブT細胞やナイーブB細胞が活性化してしまう。